日本におけるヘンプ(麻)の歴史
多くの方はご存じないかもしれませんが、日本には何世紀にも渡るヘンプの歴史があります。ここ数年、海外はもちろん日本でも、シンプルで人気なヘンプの存在が、世の中に大きな反響を与えています。
ヘンプ(麻)はマリファナとは異なる
まず、ヘンプとマリファナの違いを説明します。ヘンプとマリファナは、どちらもカンナビス(大麻)属の植物に属しています。カンナビス属の一つとして、ヘンプとマリファナにはカンナビノイドが含まれています。しかし、このカンナビノイドの含まれている濃度が、ヘンプとマリファナでは大きく異なります。
デルタ9テトラヒドロカンナビノール(略:THC)は、カンナビノイドの一種でマリファナの使用に大きくかかわる成分です。ヨーロッパやアメリカでは、カンナビス属の植物の重量の0.3%以上のTHC(人を多幸感にさせる与える量)が含まれている場合、マリファナと呼称されます。
カンナビジオール(略称:CBD)は、カンナビノイドの一種ですがTHCと違い人に多幸感を与えたりせず、健康面での効果が多く期待される成分です。ここでは、このCBDについてご紹介いたします。ヘンプは、THC含有量が0%なのに対して、このCBDが多く含まれています。
ヘンプは伝統的な日本の生活と神道に必要不可欠だった
日本では、新石器時代における縄文時代の頃から、ヘンプが育てられていました。「縄文」という言葉は「縄の模様」を意味しており、その縄こそヘンプから作られていたのです。起源は不明ですが、ヘンプは中国から伝わったという説が有力です。ヘンプは育つのが早かったので、忍者が毎日ヘンプの上を飛び越えてジャンプ力を鍛えていたという言い伝えもあります。
福井県では10,000年以上もの前にできたヘンプの紐が、千葉県では縄文時代に居住地であった場所から備蓄された、ヘンプの種が発掘されました。日本の伝統的な和紙は、ヘンプから作られており、また、伝統的なランプや料理油もヘンプの種から作られています。昔の多くの服も、ヘンプから作られていました。
ヘンプの形をパターン化した模様も、日本の伝統的な布パターンとして親しまれてきました。
その後も、ヘンプは、日本古来の宗教である神道などを中心に、日本において重要な役割を果たしてきました。神道では、ヘンプは、浄化効果があるとして崇拝すべき聖なる対象物でした。祭司たちは、ヘンプの葉の束を仰ぎ、信者を祝したり邪悪な魂に対して祈祷をしたりしていました。現在は、意義をそのままに、神社で見られる繊維で編みこまれた儀式用の太い縄として残されています。神道の祭司はまた、金色のヘンプの茎の皮をはいだものを杖に装飾しています。
また、日本人はヘンプの医療目的での利用にも積極的です。ヘンプは、伝統的な中国の薬に利用されていたことはもちろん、日本でも20世紀初頭までは、不眠症や痛み止めの薬として薬局等で取り扱われていました。
ヘンプの繊維もまた、日本文化にも重要な役割を果たしています。例えば、お寺や神社にある、祈祷者が鐘や鈴を鳴らすためのロープはヘンプで出来ています。また、相撲での横綱のふんどし、神道の祭司の服もヘンプから作られています。ヘンプの種は香辛料の七味にも使われています。
現在も日本で栽培されているヘンプ
日本では、今でも郊外に行くとヘンプが栽培されているのを目にすることができます。栃木県と北海道は、日本でも商業用ヘンプの栽培が最も盛んな地域です。特に、栃木県で栽培されているヘンプは「トチギシロ」と呼ばれています。
第二次世界大戦前、25,000人もの人がヘンプ畑に従事していたと言われています。ヘンプは、戦艦のパラシュートのロープなどにも使われ、戦争にも大切な役割を果たしました。栃木県では、収穫量の半分以上が軍事用に使用されていました。しかし、戦争が終わると、日本のヘンプ栽培は大きなターニングポイントを迎えました。
1945年の日本敗戦後、アメリカが日本を占領。1948年、アメリカの占領下で、日本は大麻取締法を制定しました。これは、現在にも続く反ヘンプ(大麻)政策の基本として今も残っています。
1948年に取締法が制定される以前は、日本には25,000ものヘンプ畑がありました。現在では、認可されている畑は50のみです。アメリカが日本に対し反ヘンプ(大麻)の立法を日本に課した理由については、さまざまな意見が飛び交っています。とある専門官は、アメリカがアメリカ中部の保守的な価値観を日本に根付かせるために制定したとし、他の専門家は、アメリカの繊維産業が日本のヘンプ産業と競合していたためと推測しています。経済的な面で、アメリカは日本の潤沢なヘンプ産業を、アメリカの綿産業やナイロンなどの合成繊維産業に置き換えたかったとも考えられます。結果、アメリカの繊維産業には莫大な資金が流入し、日本の歴史を支えた繊維産業が衰退していくことになりました。
日本におけるヘンプの未来
大麻取締法が制定されて70年余、ヘンプ産業はゆっくり返り咲きつつあります。アメリカでは近年、ヘンプ栽培が合法化されました。ドイツでは、ヘンプを使ったエコ商品や高級車などの内装商品が開発されています。オリンピック委員会もまた、CBDの使用を認可しました。
日本でも、ヘンプが新しい利益率の高い作物となるだろうと、農家の間で期待が高まっています。北海道では近年、アジアヘンプカンファレンス「ASACON」が開催され、歴史的にヘンプを大量に栽培していた過去から、再びヘンプ栽培を促進するための市民運動が盛んです。
日本はまた、ヘンプ由来のCBDを2016年に合法化したアジアで最初の国です。日本の政府は、近年医療用CBDブランドEpidiolexを臨床的に治験することを認可しました。日本のCBDマーケットの研究は、安倍晋三首相のCBDの使用により拍車がかかっています。安倍昭恵首相夫人の後押しもあり、首相はCBDを摂取することで、大腸炎や炎症性腸疾患からの心的苦痛を軽減できたそうです。
現在日本では、CBDの人気の高まりの中でヘンプが大きく注目されています。CBDの消費量は対前年比で100%増え、人々はCBDの恩恵に気づき出したところです。
CBDに加え、ヘンプは今後も日本の農業、健康、美容、食、ビジネスに重要な役割を果たすことは間違いありません。Dollopで働く私たちは、今後も日本の方々へ上質なCBDを提供し、国内のヘンプ市場に貢献していく所存です。